測定

体組成計の原理

2021.10.01

乗るだけでからだの脂肪や筋肉の量がわかる体組成計。その原理について詳しく解説します。

なぜ体組成計に乗るだけで体組成を計測できるのか

タニタの体組成計は乗るだけで体組成をはかることができますが、これは「生体電気インピーダンス法」という分析方法を応用して計測を行っているためです。体組成計では予め入力した身長や年齢、性別といった情報と、実際にはかる体重とからだの電気抵抗値(インピーダンス)を組み合わせることで簡単に体組成をはかることが出来るのです。

生体電気インピーダンス法

生体電気インピーダンス(BIA=Bioelectrical Impedance Analysis)法とは、からだに微弱な電流を流し、その際の電気の流れやすさ(電気抵抗値)を計測することで体組成を推定する方法です。「脂肪はほとんど電気を流しませんが、筋肉などの電解質を多く含む組織は電気を流しやすい」という特性を利用します。 からだの中で電気を通す組織である筋肉組織は、その太さ(断面積)により電気の通りやすさ(電気抵抗値)が異なります。断面積が大きいほど電気抵抗値が低く、断面積が小さいほど電気抵抗値は高くなります。電気を通して判明した電気抵抗値と、予め入力された身長から筋肉組織の長さを割り出し、太さと長さを組み合わせることで筋肉量を計算しています。ここで割り出された筋肉量と測定した体重、予め入力された情報とたくさんの統計データから、どれだけの脂肪がからだについているのかを推定しています。

上記の原理を利用すると、身長と体重が同じでも脂肪の多い人と少ない人では、からだの電気特性に下記のような違いがあることが分かります。
・脂肪の多い人(筋肉の少ない人)⇒電気抵抗値が大きい
・脂肪の少ない人(筋肉の多い人)⇒電気抵抗値が小さい
この電気抵抗値の違いをもとに分析を行っているので、乗るだけで(体重と電気抵抗値:インピーダンスをはかることだけで)体組成を導き出すことが出来るのです。

さらに高精度に計測するためのタニタの技術

計測にはからだの電気の通りやすさをはかっているのですが、実は筋肉内の電解質の電気特性(電気の通り具合)は、年齢や運動習慣などにより個人差があり一様ではありません。従来の生体電気インピーダンス法では、この個人差を電気的に捉えることは出来ませんでした。
しかし、タニタでは「リアクタンステクノロジー」と「マルチ周波数測定」という技術を用いて、筋肉内の電解質の個人差を電気的に反映させることに成功しました。タニタの体組成計はこの技術を用いることにより、従来の生体電気インピーダンス法より高精度に体組成を計測できるようになっています。

 

マルチ周波数測定

生体組織において、電流はその周波数によって流れる経路が異なります。(下図) からだに流れる電流の周波数が低い場合、電流は細胞膜を透過できないために細胞外を流れます。周波数が高くなるにつれ電流は細胞膜を透過するようになり、細胞内にも電流が流れるようになります。 このように複数の周波数の電流を使い分けることで生体組織の細胞の詳しい情報を得ることができ、より正確な計測を行うことができるのです。

リアクタンステクノロジー

生体組織は細胞とその間を満たす細胞外液から構成されており、さらに細胞は細胞内液と細胞膜から構成されています。 電気的に、細胞内液・細胞外液は抵抗成分(レジスタンス)、細胞膜は容量成分(リアクタンス)とされ、これを電気的等価回路に表すと図2のようになります。

このようにレジスタンスとリアクタンスを計測することで、細胞内液・外液と細胞膜の情報を得ています。従来のインピーダンス計測では、レジスタンスとリアクタンスが合成されている数値しか得ることが出来ませんでした。タニタでは従来のインピーダンス計測から、さらに詳しくレジスタンスとリアクタンスを別々に計測する「リアクタンステクノロジー」を開発しました。生体組織からの電気的情報を増やすことで生体組織の細胞レベルの変化を捉えることができるようになり、個人差を反映した分析や、日中の水分変動の影響を小さくすることに成功しました。

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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