4C法とは?-最も精度が高い体組成評価方法-

2022.10.26

体組成を評価するには、いくつかの方法があります。ここでは、最も精度が高いとされている4C法について解説いたします。

体組成を評価するさまざまな方法

 体組成の評価方法には、直接法と間接法があります。「直接」体組成を測定するには解剖するしかなく、生きているヒトの体組成を知るには、間接法により推定することしかできません。
 

間接法には一次間接法と二次間接法があります。一次間接法はリファレンスとなる方法(基準法)を必要とせずに理論的な導出によって体組成を求める方法です。体密度法(水中体重秤量法、空気置換法)や二重エネルギーX線吸収法(Dual-energy X-ray Absorptiometry: DXA)、4 Compartment model(4C)法などがあり、いずれも妥当性および信頼性が高いことが特徴です。

一方で体組成計が用いる生体電気インピーダンス法(Bioelectrical Impedance Analysis: BIA)は二次間接法と呼ばれ、一次間接法で取得したデータを基に開発された回帰式(アルゴリズム)が必要です。
 

体密度法とDXAの課題

まず前提として、体密度法とDXAはともに優れた計測方法であり、十分に精度が高いことをご理解ください。しかし、これらの方法にもいくつかの課題が存在します。体密度法は、脂肪と除脂肪組織の密度に個人差がなく一定であり、除脂肪組織を構成する要素の比率も一定であるという仮定に基づきます*1)。またDXAは、骨を除いた除脂肪組織におけるX線減衰率が一定であるという仮定に基づきます。しかし、除脂肪組織中の細胞内液や外液、蛋白質の比率には個人差があることが指摘されており*2-3)、この比率が仮定と異なる人、例えば浮腫のある人や高齢者、アスリートなどでは精度が低下してしまいます*4)。

4C法

4C法は、現在最も精度が高い体組成の評価方法とされています*5)。これは、体密度法、重水希釈法、DXAおよび体重測定の4種のデータを組み合わせ、身体を脂肪、ミネラル、蛋白質、水分の4成分(4 Compartment)に分けて推定する方法です。これにより、対象者の体積、体水分量および骨ミネラル量を計算に含める以下の式で脂肪量を算出できるため*6)、体密度法やDXAで問題となる仮定に影響を受けない体組成評価が可能となります。その反面、計測には多大な時間と費用がかかるため、実際の臨床現場で使用することは困難です。

BIAの優れたアルゴリズムを開発するには?

BIAのアルゴリズムを開発するためには、一次間接法で取得したデータが必要で、それを基準として、インピーダンスとの関係性を式にします。一次間接法には、体密度法、DXA、4C法などありますが、どれを選ぶと最も精度の高いアルゴリズムを開発できるのでしょうか?


正解は4C法です。基準法といえども、各方法によって精度には差があります。これは、生きているヒトの身体の組成を「直接」はかることはできず、推定するしかないことが理由です。仮に、真の値からの誤差が大きい方法を基準法としてアルゴリズムを開発すると、BIAにおいても真の値に対しての誤差が大きくなってしまいます。それに対し、真の値に近い方法※を基準法とすることで、BIAでも真の値からの誤差が小さくなるため、最も正確とされる4C法が、BIAのアルゴリズム開発時の基準法として優れています。


4C法は非常に精度が高い反面、測定に多大な時間と費用がかかるため、BIAのアルゴリズムを開発するにあたって使用している企業はほとんどありません。しかしタニタでは、BIAの精度向上を目指して4C法のデータを使用しており、この技術を「4C Technology」と名付けています。
 

おわりに

4C法、体密度法、DXA法などの一次間接法は、精度の高い優れた方法ですが、いずれも計測には時間がかかり、気軽に体組成を知ることはできません。BIA(体組成計)では、これらに近い精度を実現できるようになっており、何よりも簡便、短時間かつ非侵襲的に体組成を知ることができるという利点があります。BIA(体組成計)の原理について詳しく理解されたい方は、コラム「体組成計の原理」もご確認ください。

<引用・参考文献>


1) Roche Af et al. 身体組成研究の基礎と応用. 大修館書店, 2001.
2) Proctor DN et al. Comparison of techniques to estimate total body skeletal muscle mass in people of different age groups. Am J Physiol, 277: E489-95, 1999.
3) Silva AM et al. Extracellular water: greater expansion with age in African Americans. J Appl Physiol, 99: 261-7, 2005.
4) Roubenoff R et al. Use of dual-energy x-ray absorptiometry in body-composition studies: not yet a "gold standard". Am J Clin Nutr, 58: 589-91, 1993.
5) Baumgartner RN et al. Body composition in elderly people: effect of criterion estimates on predictive equations. Am J Clin Nutr, 53: 1345-53, 1991.
6) Fuller NJ et al. Four-component model for the assessment of body composition in humans: comparison with alternative methods, and evaluation of the density and hydration of fat-free mass. Clin Sci (Lond), 82: 687-93, 1992.

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