タニタは、体脂肪率や内臓脂肪レベルなど、
からだをはかる新たな指標を次々と世に広め、
健康づくりを進化させてきました。
指標があれば、人は変われる。
指標があれば、社会の仕組みができる。
だからタニタはこれからも、
世の中を動かす新しい指標をおくり出していきます。
日本をもっと健康にするために。
谷田賀良倶
(たにだかろく)
商店創業
1955年頃、厚生省(当時)が
「成人病」という呼称を
使いはじめる
ヘルスメーター
製造開始
タニタ創業者 谷田五八士がアメリカを訪れた際、各家庭に体重計があることに驚き、ヘルスメーターの開発に着手。
日本初
デジタルヘルス
メーター発売
1980年代、日本肥満学会などから、
「脂肪の量が問題」との意見が出される
世界初
乗るだけで簡単に体脂肪が測定可能に。体重に加えて、
「体脂肪率」という肥満度を確認するための新しい指標
が誕生しました。
体内脂肪計発売
開発秘話開発担当佐藤富男
「やるだけやってみよう」入社1年目、
1人で任された体脂肪計の開発。
かつて肥満は、体重の重い軽いだけで判断されていました。しかしあるとき、当時の社長が専門医から「肥満は体重が重いことではなく、脂肪が多いことだ」と聞いたのがきっかけとなり、社内でも脂肪をはかる装置の開発が命じられました。ただそれは大々的なものではなく、当時新入社員だった私の研修テーマという形でのスタート。当然戸惑いましたが、知っている人がいない中「やるだけやってみよう」という気持ちで挑んだのを覚えています。当時、正確な脂肪計測法といえば、手間のかかる水中体重秤量法のみ。それを体重計のような簡単なものにできないかと試行錯誤の日々が始まりました。ようやく確立した計測法は、電気を通しにくい脂肪の性質を利用し、脂肪量の推定値を導き出すというもの。推定値を導く計算式をつくるには、幅広い年代、幅広い体格の人体データが必要となり、その収集に奔走する毎日でした。そして1992年、ついに世界初の体内脂肪計の開発に成功。家庭向けにも発売され、体脂肪率という新しい指標が世に広がっていくことになったのです。
水中体重秤量法
体内脂肪計発売
世の中への影響営業担当松本浩揮
体脂肪率という指標の広がりと共に、
大きく変わり始めた人々の健康意識。
世に出た最初の体内脂肪計は業務用で、当時の価格で48万5千円ととても高価なものでした。しかし、乗るだけで計測できる点が使いやすいと、大学をはじめとする研究機関や健診センターなどの医療施設に好評でした。その後、家庭用タイプが発売され、価格が2万円台のモデルが出たのをきっかけに、体脂肪計は一気にブレイク。それと同時に「体脂肪率」という言葉もあっという間に広がっていきました。体脂肪計が普及するに伴い、今度は体脂肪を減らすための運動が注目されるようになり、歩数計やダンベルなどの健康グッズも脚光を浴びるようになっていきました。販売店には健康グッズの一角が設けられ、それを見たときに、体脂肪に対する世の中の動きがこんなにも早いのかと驚くと同時に、人々の健康に対する意識が大きく変わろうとしているのを感じました。
体脂肪計をクリニックや
開業医が採用しはじめる
テレビ番組でも頻繁に
取り上げられる
肥満における体脂肪の重要性が
認知されはじめる
世界初
家庭用脂肪計付
ヘルスメーター
発売
体脂肪計が大ヒット
消費者から問い合わせ殺到
健康ダイエットの時代へ
「成人病」は「生活習慣病」へ
1999
WHOが「メタボリックシンドローム」
という名称で診断基準を発表
治療から予防の時代へ
世界初
テレビ番組や新聞などでも商品が取り上げられ、
「内臓脂肪」が健康を確認する基準の1つになると広く認知
されるようになりました。
内臓脂肪チェック付脂肪計「インナースキャン」発売
開発秘話開発担当西澤美幸
親しんでもらえる商品にするために、
たどり着いたのが「内臓脂肪レベル」
という表現。
弊社が体脂肪計を発売した1992年頃に、専門家の間ではお腹に付く脂肪の中でも最も病気になるリスクが高いのは内臓脂肪だという研究結果が注目されるようになってきました。その流れから、会社としての最優先ミッションとして、内臓脂肪計の開発が始まりました。体脂肪計が密度計算だったのに対して、内臓脂肪計は面積計算。様々な可能性を考えながら解析を繰り返しました。このとき、開発のために集めた人体データは764人。現在では、1万人以上のデータを有しています。発売前には商品としてお客様にどのような形でお届けするかという議論が白熱しました。そこで考えたのが「内臓脂肪レベル」という表現。具体的な推定面積値を示すのではなく、お客様がより理解しやすいような指標を提案しました。無事その案が通り、わかりやすい指標と共にはかっていただける商品を世におくり出すことができました。
内臓脂肪チェック付脂肪計「インナースキャン」発売
世の中への影響営業担当打越亘
新商品を普及させていくためにとった
行動が、世の中の健康意識を変えていく
きっかけに。
発売した当初は世の中の認知はほとんどなかった印象でした。商品を普及させていくために売り場やメディアに働きかけをして、様々な場所で内臓脂肪とはどういうものかを啓蒙しながら営業していきました。当時、内臓脂肪をはかる機械といえばCTスキャンくらい。内臓脂肪レベルはご家庭で簡単にチェックできるところが、お客様にとって手軽で購入しやすい理由にもなったのだろうと思います。おかげで認知が進むにつれて販売数量も伸びていきましたし、お客様から内臓脂肪に関する問い合わせも増えていきました。そこでやってきたのがメタボブームです。テレビやマスコミにも大きく取り上げていただき、内臓脂肪レベルは世の中の健康意識を変えるひとつのきっかけとなりました。
家庭用体組成計
「インナースキャン」
発売
2006
「メタボリックシンドローム」
流行語選出
2008
内臓脂肪症候群に着目した
特定健診はじまる
世界初
筋肉の質を評価する筋質点数。現在では、部位ごとにも
チェックできるようになりました。アスリートが
パフォーマンス向上のための指標にするなど、世の中に
広がりはじめています。
筋肉の質を評価する新指標 筋質点数を発表
開発秘話開発担当内山朋香
筋肉に対する新しい概念、
それは量ではなく質を見える化すること。
国の難病研究に協力していた頃、気になる事象に出合ったことが発端でした。当時は「筋肉量と筋力は比例する」というのが定説。しかし、筋肉量の変化や差だけでは説明できない事象が出てきたのです。例えば、かつて運動をしていた中高年の方で、筋力が落ちているのに筋肉量は減っていないというようなことです。専門家と議論を重ね、電気特性と合わせて考えていく中で、原因は筋肉の「質」にあるのではないかという考察にたどり着きました。そこから指標づくりに向けて「筋質評価」という開発の方向性は定まったのですが、筋肉量と違い、筋肉の質というわかりにくい概念を説明できるレベルにまで落とし込むのが大変でした。部署内外で意見をぶつけあい、単なる数値ではなくわかりやすい点数式の指標をつくるアイデアが生まれました。こうして筋質点数を表示できる世界初の体組成計が誕生したのです。
筋肉の質を評価する新指標 筋質点数を発表
世の中への影響広報担当冨増俊介
スポーツの分野で認められた指標を、
もっとたくさんの人のもとへ。
世界初、筋肉の「質」の指標化ということで、記者発表には70名近くの報道関係者にお集まりいただき、その新規性が評価されたのかなという手応えを感じました。その後、両腕・両脚の部位ごとにもチェックできるモデルが誕生すると、主にスポーツ分野から引き合いがあり、アスリートのトレーニングやコンディション管理に役立てられるようになりました。実際多くのアスリートから「筋肉に対する意識が変わった」「トレーニング方法を変えた」という声をいただいています。一方で、筋質点数は一般の方々のからだづくりや健康管理においても、ポテンシャルを発揮できると感じています。例えば、筋肉量が増えにくい女性や高齢者でも、敏感に変化する筋質点数なら、運動継続のモチベーション維持に役立つのではないでしょうか。ですから、今後はより多くの人に知っていただくための活動にも注力していきたいですね。
タニタには「変化を是とし、変化を讃え主導する企業であり続ける」という企業文化が根付いています。それはヘルスメーターをつくっていた頃から変わらない伝統的なもの。社員全員が、以前とは違うこと、進化したもの、新しいチャレンジをしようという気持ちを常に持ち、日々仕事に向き合っています。
商品のアイデアの種は、開発部以外でも社内のいたるところから生まれます。例えば、営業部隊。一番お客様に近いという立場で「こういうものがあればお客様のためになるんじゃないか」という視点から、全く新しい企画を思いつくことも。そういった柔軟な組織体になっている点もイノベーションを生む背景のひとつです。営業の現場からの声で逆流的に生まれた機能も多数あります。
タニタのオフィスは、社員が個々の自席を持たず自由に働く席を選択できるフリーアドレス制です。部署や肩書きに関係なく、社員のコミュニケーションも活発。フラットな意見交流や熱のこもった議論も日常茶飯事で、その中から新しい商品のヒントが生まれることも少なくありません。
健康に役立つのであれば、タニタは何でもはかりたいという想いでいます。「体脂肪率」という言葉も、タニタが体脂肪計を世界ではじめて開発してから広まりました。内臓脂肪レベルや体水分率、推定骨量、筋肉量などもいまでは手軽にはかれます。はかれるようになったことで、意識が変わります。現在はからだをはかるだけにとどまらず、日本を健康にすることに広く寄与したいと考えています。
代表取締役社長