2025.03.11
タニタの「暑さ指数管理サービス」は、パソコンやスマートフォンのブラウザー上でいつでもどこからでも暑さ指数を確認することができます。黒球式暑さ指数センサー(TC-350)を複数拠点に設置することで広範囲の暑さ指数を測定が可能。 2024年8月23日(金)に開催された「にっぽんど真ん中祭り」の会場に合計5カ所設置しました。今回は、医療救護責任者が感じた暑熱対策と活用効果をご紹介しています。
「にっぽんど真ん中祭り」は、真夏の名古屋を舞台に国内外から約200チームが集結する国内最大級の踊りの祭典です。
会場の多くの人が集まる場所に暑さ指数センサー(TC-350)を合計5カ所に設置しました。
(メインステージ付近、パレード会場付近、救護所付近、飲食エリア付近、観客席付近)
実施日:2024年8月23日(金)16時30分~2024年8月25日(日)21時
主催者:公益財団法人にっぽんど真ん中祭り文化財団
開催場所:久屋大通公園を中心に愛知県内各所
参加者:約197万人
?にっぽんど真ん中祭り
大会運営においては、日中のイベントであることから、炎天下での踊る参加者や長時間滞在する観覧者の熱中症リスクを正確に把握し、最適な対策をすることが求められます。
26回目を迎えた本イベントでは2006年から暑熱対策に力を入れており、出場チームには給水係の設置や健康チェックを義務付けたり、暑さ指数が高くなると医療統括本部から出場チームに注意喚起をしたりするなど、さまざまな対策をしてきました。
これまでも暑さ指数計を使用し、熱中症リスクの把握を行ってきたものの、1時間に1度、救護を担当する学生スタッフが暑さ指数計の表示を目視で確認していたため、記録できるデータの量が限られ、手間もかかっていました。
また、救護者が多数発生すると計測にまで手が回らなくなるため、効率よく暑さ指数を把握できる仕組みの必要性を感じていました。また、運営業務が多忙になるとスタッフ自身の暑熱対策が手薄になりがちであり、踊る参加者や観覧者のみならず、スタッフの対策も課題となっていました。
「にっぽんど真ん中祭り」医療救護責任者の丹羽一晃様に、熱中症対策と活用効果と今後について詳しくお話をうかがいました。
今回は多くの人が多く集まる5カ所に暑さ指数センサーを設置し、3日間で延べ116名の全ての救護スタッフが手元のスマートフォンで暑さ指数を確認できるようにしました。さらに、事前に設定した暑さ指数に達するとメールで知らせる機能を活用し、暑さ指数が31度を超えた際に救護スタッフ全員にアラートメールが届くようにしました。
救護スタッフは暑い場所で長時間活動することになります。これまでは一部のスタッフしか暑さ指数を確認できませんでしたが、スタッフが各自暑さ指数を確認できる体制を整えたことで、より危機感を持ち自身の暑熱対策も行いながら安全に救護活動ができるようになりました。また、各地点の暑さ指数が10分おきに自動で送信されるので、学生スタッフの業務を削減ができ、より効率よくデータを蓄積できるようになりました。
各地点の暑さ指数をリアルタイムで確認ができるようになったことから、よりリスクの高い場所とタイミングを見定め救護スタッフの巡回を強化しました。他にも、暑さ指数の高まりに応じて、参加チームへメールで注意喚起し、観覧の皆さまへはメインステージのテレビ画面や会場アナウンスで暑熱対策を促すなどしました。
異なる熱中症リスクを持つそれぞれの人に対して熱中症の発生予防や早期対処が可能となりました。
年々熱中症対策を強化してきたことで、実際の救急搬送者数も減少傾向にあります。
本格的に暑熱対策を始めた2006年以前は30件前後の救急搬送がありましたが、今回は7件(医療統括本部からの救急要請が4件、参加者による個別の救急要請が3件)となりました。熱中症リスクを把握し備えておくことが、安全な祭りの運営に効果的だと実感しています。
年によって気象状況は変化しますが、継続的に暑さ指数をはかることで、暑さ指数に応じてどのような熱中症リスクが発生するのかをある程度予測できるようになると思います。
そして、踊る参加者や、観覧の皆さま、スタッフなどそれぞれに応じた熱中症対策が必要です。どこにどのレベルの熱中症リスクがあるかを把握し、それぞれが危機感をもって行動できるようにこれからも熱中症対策に力を入れていきたいと思います。