タニタの考える健康

生活習慣病とメタボリックシンドローム

2021.10.01

生活習慣病の恐怖

日本人の死因の上位を占めるのは、、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患ですが、これらのいずれもが、生活習慣と関連のあることが知られています。

“生活習慣”が発症や進行に大きく関与する病気を「生活習慣病」と呼びます。疾病のリスクとなる生活習慣には、喫煙、飲酒、食事、運動、休養・睡眠などがあります。喫煙とがんの関連は良く知られていますが、不健康な生活習慣は様々な疾患の要因となります。

生活習慣病の恐ろしい点は、日常の習慣が少しずつからだへ悪影響を及ぼし、気が付いたら死につながる病気になっていることです。死まで至らなくても日常生活に支障が出たり介護が必要になってしまったりします。
また病気の要因が身に付いた習慣であるため、それを取り除きにくい面もあり病気が慢性化して進行していってしまいます。

生活習慣病を予防するには

生活習慣病はその名の通り“生活習慣”が病気の一因となっているので、その対策・予防には“良い生活習慣”が効果的です。良い生活習慣のキーワードに、「一無、二少、三多」があります。

●一無
・禁煙…たばこは吸わない

●二小
・小食…食事は腹八分目に抑える
・小酒…小酒、節酒を心がける

●三多
・多動…「座るより立つ」「乗るよりも歩く」など少しでも体を動かす
・多休…しっかりとした休養をとる(7時間前後の睡眠)
・多接…多くの人と接し、日常生活にメリハリをつける

ぜひこれらを心がけ、良い生活習慣としましょう。

このキーワードとは逆の「一有、二多、三少」の悪い生活習慣は、エネルギーの摂取と消費のバランスを崩しやすく、肥満になりがちです。肥満は生活習慣病と密接な関係にありますが、肥満の中でも特に内臓脂肪の過剰な蓄積がある“内臓脂肪型肥満”は、生活習慣病の発症リスクが非常に高い「メタボリックシンドローム」になっている可能性があります。

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームは「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、その名の示すように内臓のまわりに脂肪が過剰に蓄積した内臓脂肪型肥満を前提とし、さらに高血圧、血清脂質異常、高血糖のいずれか2つ以上をあわせもった状態を示します。

特に成人男性の肥満では内臓脂肪の過剰蓄積が多く見られます。運動習慣が無い方で、20代の時に比べて体重が10%以上増えている方は注意が必要です。増えた体重のかなりの部分が内臓脂肪として蓄積されていると思って間違いありません。体重が増えていて、さらに高血圧、血清脂質異常(高中性脂質血症、低HDL血症)、高血糖の症状がある方は、今すぐ生活習慣を改善することをお勧めします。

メタボリックシンドロームは成人男性によくみられる症状ですが、閉経後の女性も注意が必要です。閉経前の女性はエストロゲンという女性ホルモンの特性により、内臓脂肪が蓄積されにくいのですが、閉経後はエストロゲンの分泌が減少するため、内臓脂肪が蓄積されやすくなるので、注意が必要になってきます。

メタボリックシンドロームにならないためには

メタボリックシンドロームになるリスクを下げるにはどうすればよいでしょうか。

メタボリックシンドロームの背後にあるのは内臓脂肪の過剰蓄積ですから、まずは、内臓脂肪を減らすような生活習慣に変えるように心がけましょう。
内臓脂肪が蓄積する原因は身体活動量の低下です。生活習慣病を防ぐために、2つの運動基準が設けられています。1つは運動に取り組むこと(運動所要量/厚労省/1989)、もう1つは日常の生活活動をより活発にすること(運動基準/ 厚労省/2006)です。

内臓脂肪の蓄積を避けるためにも運動や日常生活の活発化は非常に有効です。運動を始めるのが難しい方は、歩く距離を増やしてみたり、車通勤から自転車通勤に切り替えて見たりしてはいかがでしょうか。

病的な内臓脂肪の面積は、医学的には150cm2以上とされていて、100~150cm2の人と150cm2以上の人とでは、150cm2以上の人の方が、疾病罹患度が圧倒的に高いということが分かっています。また、100cm2以下の人と100~150cm2の人を比較しても差が出ています。 100cm2以上あったからと言って、すぐにメタボリックシンドロームであるというわけではありませんが、病気を疑う上での目安は100cm2ということになります。

これを腹囲に換算すると、男性が85cm、女性が90cmになるというわけです。腹囲をはかるということは、要するに、内臓脂肪の面積を非常に簡便な手段で推定できるということなのです。

より詳しく内臓脂肪の状態を把握するには

腹囲をはかることはメタボリックシンドロームかどうかを知るための第一歩ですが、これだけでは適切な判断が出来ない場合があります。
内臓脂肪が多くなくても、筋肉の量が多ければ腹囲も大きくなります。この状態は当然メタボリックシンドロームではありません。

元来、メタボリックシンドロームの診断を行う場合、CT検査によって内臓脂肪の面積をはかるのが最も的確な方法です。病的な内臓脂肪の面積は、医学的には150cm2以上とされていて、100~150cm2の人と150cm2以上の人とでは、150cm2以上の人の方が、疾病罹患度が圧倒的に高いということが分かっています。また、100cm2以下の人と100~150cm2の人を比較しても差が出ています。 100cm2以上あったからと言って、すぐにメタボリックシンドロームであるというわけではありませんが、病気を疑う上での目安は100cm2ということになります。

体組成計を使えば内臓脂肪レベルとして内臓脂肪の状態を簡便に把握できます。この内臓脂肪レベルはからだの筋肉や脂肪の状態を踏まえた状態での分析ですので、腹囲をはかるよりも簡便にかつ具体的に内臓脂肪の状態を把握することが出来ます。

体組成計を使って日常的に自分の体組成を管理していくということが、非常に大切であると言えるでしょう。

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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