タニタの考える健康
2022.12.05
ダイエットに取り組む皆さんのさまざまな疑問に、“タニタ式”でお答えする本シリーズ。 今回&次回は、生体データの解析や体組成計の開発に携わる和智が、ダイエットの素朴な疑問に答えます。
和智 湧斗
2016年に入社し、生体データの解析や体組成計などの商品企画に従事。2020年からは、これまで培った解析技術や統計学の知識を活かし、会社の枠を超えて幅広く活動している。最近では、体組成のデータからウエストやヒップなどの形状を推定する新しい技術、『TANITA Body Shape Analyzer』の開発にも携わった。
「痩せやすい体質」を目指す方にもっとも意識してほしいのが基礎代謝です。基礎代謝というのは呼吸、臓器の活動、体温の維持などで使用される「生きていくために最低限必要なエネルギー」で、1日の消費エネルギーの約6割を占めます。この記事を読んでくださっている今も、眠っている間も、基礎代謝によるエネルギー消費は続いています。
痩せるには「消費エネルギーのカロリー(消費カロリー)>摂取エネルギーのカロリー(摂取カロリー)」となる状態をキープする必要があるので、基礎代謝を上げて自然とエネルギーを消費できるからだを目指すのが、痩せやすい体質への早道です。
基礎代謝量の中で、約22%※ものエネルギー消費量を占めるのが骨格筋(筋肉)。「基礎代謝を上げるには筋肉をつけるといい」といわれるのはこのためです。一方、あまり知られていませんが、「肝臓」や「脳」も筋肉と同じくらいのエネルギーを消費しています。筋肉量を増やすことはもちろん、習慣的に食事や睡眠に気を配って内臓の働きを活発にしたり、積極的に新しい知識に触れて脳を働かせたりすることも、エネルギーの消費につながります。
私たちのからだは、常に筋肉を分解し、新しく合成することを繰り返しています。そして、その合成に欠かせないのがタンパク質です。しかし、バランスの悪い食事や無理な食事制限によるダイエットをしているとタンパク質が不足しがちになります。すると筋肉の合成よりも分解することが多くなり、筋肉量が減少。その結果、基礎代謝も低下して「太りやすい体質」に近づくので、注意が必要です。
また、タンパク質の一種である「ケラチン」は健康的な髪の毛を維持するのに必要ですが、体内では生成できないアミノ酸が含まれているため、食品など体外から取り込まなくてはいけません。タンパク質だけでなく、脂質は体温を保ち、炭水化物は運動や脳の活動のエネルギー源になるなど、カロリーコントロール以前に私たちが健康的に過ごすためにはさまざまな栄養素を取り入れる必要があります。ダイエット中であっても、基礎代謝量に合わせてしっかり栄養を摂りましょう。
「体脂肪」と聞いたとき、「皮膚の下に脂肪の層がある状態」をイメージする方は多いと思います。ではその“脂肪の層”がなにでできているかというと、たくさんの脂肪細胞です。脂肪細胞はその一つひとつにエネルギーの貯蔵庫としての役割がありますが、これらが大きくなることで太り、小さくなるにつれて痩せた見た目になります。
つまり、痩せる=体脂肪を減らすには、体内の「脂肪細胞を小さくする」必要があるのです。
脂肪細胞を小さくするためには、
(1)脂肪をエネルギーとして使える脂肪酸に分解して血液の中に流す
(2)血中の脂肪酸をエネルギーとして消費する
というステップを繰り返さなければならないのですが、からだを揉んだり押したりするだけでは、(1)(2)どちらも叶いません。このエネルギーサイクルができるのが、有酸素運動です。
ちなみに、脂肪細胞の凹凸が肌表面に現れたものがセルライト。マッサージでセルライトが目立たなくなるのは、一時的に脂肪細胞が規則正しく並んだ状態になっているだけなので、時間が経てばもとに戻ってしまいます。
一方、マッサージで期待できる効果は、血行促進による代謝アップなど。この状態で有酸素運動をすれば、より効率的にエネルギーを消費できるので、ぜひ組み合わせて取り組んでみてください。
ダイエットを成功させるために必要なのは、劇的な行動ではなく、日々“正しいダイエット習慣”を繰り返すことです。繰り返しの効果を最大化するために、正しい知識を得て、日々の活動や努力がダイエットに向かう行動になっているかを見直しましょう。
例えば、基礎代謝について知ることができれば「自然にエネルギーを消費できるからだをキープするために、少し筋肉を意識してみよう」「極端な食事制限をすると、かえって太りやすくなるから、必要な栄養をちゃんと摂ろう」など、ダイエットに効果的な行動をするきっかけになるかもしれません。
また、体形が変わるのには時間がかかるので、「ダイエットは辛い」という気持ちをなくしていくことも大切です。代謝を増やすメカニズムや、脂肪が減るメカニズムを理解することで、これまで習慣になっていなかった行動でも、ダイエットに効果的な行動を選択できたときには前向きな気持ちになれるかもしれません。
多くの方は、今よりもっと健康になろう、魅力的になろうと考えてダイエットを始められることと思います。それなのにダイエットによって健康を損ねてしまったり、一時的に痩せてもリバウンドして理想とは逆の姿になったりするのはとても残念なことです。
一生ものの理想のからだへ近づくため、ぜひ正しい知識を身につけ、できることから始めてみてくださいね。
参考文献:
糸川嘉則ほか,「栄養学総論 改訂第3版」,南江堂, 2003年
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