タニタの考える健康
2024.08.20
私たちの身の回りには、からだの外側から電気を通す機器がたくさん存在します。からだに電気を流して数値を測定する体組成計、健康をサポートする低周波治療器、トレーニング効果や美容効果が期待できるEMS機器もそのひとつです。一方で、からだの内側には常に電気が流れており、人は電気の力がなければ生きていけません。 今回は、そんなからだと電気の深い関係について、タニタの視点からご紹介します。知ればきっと、身の回りにあるものの見え方が変わりますよ!
INDEX
株式会社タニタ 開発部 生体科学課 大島 由有希
2023年入社。大学・大学院では生命科学を専攻し、「電気を流すことでからだの状態を把握する研究」に取り組む。修士論文では、電気を活用して骨折の程度や治癒後の骨の変化の可視化について検証した。タニタへ入社後は、体組成計のアルゴリズム開発に携わっている。
私たち人間のからだには約60兆個もの細胞があり、その一つひとつが電気を使って情報をやりとりして、あらゆる身体活動を維持・発生させています。今この記事を開くためにあなたが指先で行ったクリック動作も、目で文字を追う動きも、脳からの指令が「電気」になって届くことによって実現しているのです。手足を動かすだけでなく、心臓が絶えず全身に血液を送れるのも電気があってこそ。私たちのからだにはいつも電気が流れています。
からだを流れている電気は「生体電流」と呼ばれ、細胞が興奮していなくても流れている「静止電流」と、筋肉や神経が活動するときに流れる「活動電流」の2種類があります。
生体電流は極めて微弱な電流で、その単位は、「A(アンペア)」の100万分の1にあたる「μA(マイクロアンペア)」で表されるほど。からだの中を流れる電流によって、ビリッとした痛みやビリビリするしびれなどの「電流が流れている感覚」が生じることはありません。
一方で、からだの外から内部にも電気を流せます。テレビ番組の罰ゲームでよく見られる「電気が流れてビリビリしびれるイス」や「ビリッとするペン」、銭湯などに設置されていて健康効果があるとされる「電気風呂」などはきっとイメージしやすいはず。
また、筋肉量や脂肪量をはかる「体組成計」や、痛みやこりの緩和に有効な「低周波治療器」、主にトレーニングや美容目的で使用されることが多い「EMS機器」も、外部からからだに電気を流すことで機能する機器です。
ここからは、身近なこの3つのアイテムについて、それぞれの機器の仕組みやからだにどんな影響を与えるか紐解いていきます。
タニタの体組成計は、乗るだけで体組成をはかれます。これは、からだに微弱な電気を流して抵抗値を調べる「生体電気インピーダンス法」を採用しているため。脂肪は電気を流しにくく、筋肉は流しやすいという特徴を利用し、全身に電気を流すことで体組成の数値を算出します。
低周波治療器やEMS機器は、からだの特定の部分にピンポイントで電気を流して筋肉や神経に刺激を与え、ポジティブな効果を期待するもの。それぞれの特徴は、次のとおりです。
微弱な電気を流すことで、からだの痛みやこりなどの緩和・改善をサポートする機器。硬くなった筋肉をほぐして血流を促進したり、神経を刺激して痛みの緩和につながる神経物質(エンドルフィン)の放出を促したり、痛みを感じる神経とは別の神経を興奮させたりします。
電気による刺激で強制的に筋肉を動かし、トレーニング効果の獲得を目指す機器です。通常の筋トレで鍛えにくい深層筋へのアプローチが期待できる機種もありますが、使用時に痛みを感じる、刺激できる筋肉が限定的になるなどのデメリットも。健康上の問題がなく自身で動ける方が使用するなら、自主的な運動で広範囲の筋肉を鍛えつつ補助的なEMS機器活用がおすすめです。病気やケガで動くのが困難な方が使用する場合は、事前に担当医師に相談し指示を受けてください。
また、頭皮や表情筋にアプローチする美容目的のEMS機器も多数販売されています。
「EMS」というのは、「Electrical Muscle Stimulation」を略した言葉。「電気筋刺激」のことであり、電気によって筋肉刺激を与える機器は、すべてEMS機器に含まれます。低周波治療器は肩こりや腰痛などの治療に使うもの、EMS機器はトレーニングや美容目的で使うもの、と理解している方も多いと思いますが、電気の観点から見ると低周波治療器はEMS機器に含まれるのです。
ただし、低周波治療器は「医療機器」として国の認証を受けている点で、トレーニングや美容目的でつくられたEMS機器とは明確な違いがあります。
低周波治療器よりもEMS機器の方が、皮ふがピリピリしたり筋肉がピクピク動いたりすると感じる方は多いはず。
その違いを紐解くカギのひとつが「周波数」です。周波数というのは1秒間に繰り返す波の数のことで、電流は周波数によってからだの中を流れる経路が異なります。主に使用されている周波数は、低周波治療器の周波数が1~数100Hz程度なのに対し、EMS機器は数10~数1000Hz程度。高周波は細胞膜を通過してからだの深い場所まで届きます。
ただし周波数が大きい=皮ふのピリピリ・筋肉のピクピクが大きい、とはなりません。周波数の違いに加えて、「電流の大きさ」の違いが影響します。
商品によって様々ですがEMS機器は低周波治療器に比べて、周波数も電流も大きく設定されていることがあります。これは、筋肉の増強を目指すには大きな刺激で筋肉をしっかりと動かす必要があり、またインナーマッスルにアプローチするには周波数も大きくする必要があるためです。
ちなみに、体組成計が流す電気は、電流は小さく、周波数は大きくなっています。そのため、体組成計に乗ってもビリビリすることなく全身の状態を調べられます。
低周波治療器やEMS機器をはじめ「からだに電気を流すことで健康をサポートする機器」があるなら、からだに電気を流して測定する体組成計にも健康効果はあるのでは?! 乗るだけでもいい影響が期待できるのでは?! と感じた方もいるかもしれません。
たしかに、体組成計もからだに電気を通す機器のひとつ。しかし、体組成計で流す電気はとても微弱で、筋肉を動かすようなものではありません。そのため、体組成計に乗るだけで健康になるのは今のところ不可能です。
でも、筋肉量や脂肪量、水分量などの体組成を把握することは、健康維持やダイエットのサポートになるはず。電気が流れることによるものではありませんが、私は体組成計には大きな健康効果があると考えています!
タニタが世界初の「体脂肪計」を発明して以降、体脂肪率や筋肉量などの体組成が簡単にはかれるようになりました。その裏側には、今回ご紹介した「電気の力」が活用されています。
からだと電気の関係を理解したうえで体組成計を使えば、全身を電気がめぐる体感はなくても「今からだに電気が流れたんだ!」とわかり、きっと面白いはず。この後、ぜひ体組成計に乗ってみてください。
この記事を通しての発見が、体組成計でからだの状態を把握・管理し、健康づくりに取り組むひとつのきっかけになったらうれしいです。
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