測定
2023.10.11
体脂肪率を意識せずにダイエットをしていると、健康を害したり、「やせにくいからだ」になってしまったりするリスクがあります。「健康になること」「体形を整えること」を目指してダイエットに取り組むなら、体重やBMIだけを追いかけるのではなく、体脂肪率を意識することが重要です。 今回は、体脂肪率を知る必要性やその適正値などについて、開発部で体組成に関する研究開発を担当する赤尾が解説します。
株式会社タニタ 開発部 生体科学課 赤尾 茉菜
開発部に所属し、体組成に関連するアルゴリズムや新商品、サービスの開発を中心に、幅広い業務で活躍中。生体データや心理データの解析、からだの状態を判定する指標の作成、市場調査などにも携わる。
ダイエットに取り組む際に注目されるおもな指標としては、「体重」「BMI」「体脂肪率」が挙げられます。この3つの定義は、以下のとおりです。
私たちのからだは、大きく分けて、脂肪・筋肉・水分・骨で構成されており、体重はその合計の重さを指します。体重や体重を使って算出するBMIからは、「中身の構成」はわかりません。
つまり、体重やBMIの値が減ったとしても、脂肪が減ったのか、筋肉が減ったのか、水分が減ったのか、さっぱりわからないのです。脂肪を減らしたくてダイエットをしたはずなのに実は筋肉ばかりが減っていた……というケースもありますし、脂肪は筋肉よりも軽いことをふまえれば、筋肉が減って脂肪は増えているケースも考えられます。
そうして筋肉が減った場合、基礎代謝が低下して「やせにくいからだ」になります。
その後リバウンドして脂肪の方が増えてしまうと、リバウンド後の体重がダイエット前と同じでも、ダイエット前より「脂肪が多くて筋肉が少ないからだ」になってしまうのです。
食べたいものも飲みたいものも我慢してつらいダイエットした結果、脂肪が多く太りやすいからだが完成した……なんて悲劇を防ぐために重要なのが体脂肪率。体重やBMIではなく体脂肪率に着目すると、脂肪が減っているのか、それ以外が減っているのかを確認しながらダイエットできます。
体重やBMIだけを見てダイエットに取り組み、筋肉量が減ると、以前よりも少ない筋肉でからだを動かさなければなりません。その結果、からだが重く感じたり、疲れやすくなったりといった不調があらわれやすくなります。
また、筋肉量の減少は、サルコペニアやフレイルにつながることもわかっています。
WEB上には「自分で簡単に体脂肪率を計算する数式」がいくつか見受けられますが、なかには矛盾があるものも多く存在します。
比較的高い精度で算出できる可能性がある数式もありますが、さっと手軽にできる計算ではなかったり、事前にからだの各部位の大きさを計測する必要があったりと、簡単には体脂肪率はわかりません。
より正確な体脂肪率を知るためには、“4C”や“DXA”、“空気置換法”などの専門の機器と手法が必要になります。
▲アメリカの海軍健康研究センター(Naval Health Research Center)では、このような計算式を紹介しています
※DEVELOPMENT OF THE DoD BODYCOMPOSITION ESTIMATION EQUATIONS(https://www.bodybuilding.com/fun/kurilla5.pdf)より引用
しかし、体組成計を使えば、誰でも乗るだけで正確性の高い体脂肪率の値がわかります。
タニタの体組成計では、インピーダンス法(からだに微弱な電気を流し、その電気抵抗値をはかる)を使って、脂肪量を推定します。そして、その値をもとに、「脂肪量(kg)÷体重(kg)×100」の式で体脂肪率を算出しています。
体脂肪率の適正値、注意すべき値は以下の表で確認できます。青と紫の部分が適正値の範囲、それ以外は注意すべき値の範囲となり、早めの改善が必要です。
適正値に位置している場合も、やせ(白)や軽肥満(ピンク)に近い方は、今の体脂肪率をキープできるように意識することをおすすめします。
体脂肪率は、高すぎても低すぎても健康を損なうリスクがあります。具体的には、それぞれ次のような疾病や不調と深く関係しています。
[体脂肪率が高すぎるリスク]
糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病を引き起こしやすくなります。また、生活習慣病から心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの命にかかわる重大な病気につながる可能性もあります。
そのほか、大腸や食道、膵臓(すいぞう)、腎臓などのがんや、女性の場合は月経異常とも関係するとの報告もあります。
[体脂肪率が低すぎるリスク]
外部からの衝撃を受けた際のダメージが大きくなったり、免疫力が低下したりといったリスクがあります。
また、女性の場合はホルモンバランスの調整がうまくいかなくなり、月経異常、無月経になることも。
さらに、低体重の母親から生まれた赤ちゃんは「低出生体重児(体重2,500g未満)」になるリスクが高く、成長後も生活習慣病にかかりやすくなることがわかっています。
からだの見た目は、体脂肪率だけでなく、筋肉量によっても変わります。体脂肪率が「42%」の肥満の方でも、筋肉量が多ければ全体的に大きく見える「かた太り型」に、反対に筋肉量が少なければ見た目には太って見えない「かくれ肥満型」になります。
タニタの体組成計では、体脂肪率と筋肉量の値を使い、このような「体型」の判定ができます。
一般の方は「標準」や「(体脂肪率が標準の)筋肉質」を目指してください。「やせ型」がいいと考える方も多いかと思いますが、それは大きな誤解。体脂肪率も筋肉量も少ないと、先に触れたように健康リスクが高くなります。
体型判定機能を使うメリットのひとつは、「目標に対してどのようにアプローチをすればよいか」がわかりやすくなること。たとえば、肥満型の方が筋肉のついたメリハリのあるからだになりたいなら、体脂肪を減らして筋肉を増やす必要があるとひと目でわかります。
現在では広く普及している「乗るだけで体脂肪率がわかる体脂肪計」を1992年に世界で初めて製造・販売したのは、実はタニタ。生活習慣病患者の急増という問題を受けて、体重だけでなく、病気の原因となる脂肪を意識する必要があると明らかになったことが開発の背景にありました。
その世界初の体脂肪計を販売するにあたり、「脂肪率」とすると音では「死亡率」に聞こえることから、「体脂肪率」としました。そこから、「体脂肪率」という言葉が広く使われるようになったのです。
子どものころから現在まで体重しか意識したことがなかったり、体重の増減に一喜一憂した経験があったりする方ほど、「体脂肪率が重要」と言われても、なんだか難しいし受け入れにくいと感じるかもしれません。
価値観を変えることは誰にとっても簡単ではないですが、体重だけでなく体脂肪率を意識してからだの状態を正しく把握すると、健康をコントロールしやすくなり、ダイエットの効率にも変化があらわれます。
体脂肪率を意識すると、
「体脂肪率は適正値より高いのに体重は標準値なので、病気のリスクに気づけない」
「体重は標準より重いが、それは筋肉量が多いためで理想に近いからだなのに、体重を落とそうと食事制限ダイエットをして筋肉を減らし脂肪を増やしてしまう」
という事態も防げるはず。
健康面も見た目も理想の自分でいるために、ぜひ体組成計で体脂肪率をはかる習慣をつけてくださいね。
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