タニタの考える健康

より長く、自分らしく生きるために意識したい「健康寿命」の基礎知識

2023.03.07

「人生100年時代」を迎えた今、タニタが最も重要だと考えていることのひとつが「健康寿命」を延ばすことです。 今回は、開発部で体組成に関する研究開発に従事する赤尾が、健康寿命とはなにか、また健康寿命を延ばすためにできることはなにかについてご紹介します。

回答者プロフィール

株式会社タニタ 開発部 生体科学課 赤尾 茉菜
開発部に所属し、体組成に関連するアルゴリズムや新商品、サービスの開発を中心に、幅広い業務で活躍中。生体データや心理データの解析、からだの状態を判定する指標の作成、市場調査などにも携わる。


Q1 「健康寿命」ってなに? 「平均寿命」とは違うの?

A. 「健康寿命」とは、簡単に言うと「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。「平均寿命」とは異なります。

健康寿命は、より詳しくは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる(また、自分は健康であると自覚して生活できる)ことが期待される平均期間」。

一方で平均寿命は、「0歳時点での平均余命(あと何年生きられるかの期待値)」のことで、健康な期間も不健康な期間も含むのに対し、健康寿命は不健康な期間は含みません。

「健康寿命」の基本

具体的な年齢のことだと誤解されがちですが、健康寿命は「期間」を指します。日本人の健康寿命は、男性で72.68年、女性で75.38年(2019年時点)*1です。


健康寿命の算出に使用される「健康な期間」は、「健康日本 21(第二次)」では 「健康上の問題で日常生活に制限のない期間」(及び「自分が健康であると自覚している期間」)が指標に採用されています。

この指標は個人の主観を元に評価されます。本人が“私は現在、健康で日常生活に制限はない”と感じて生活していれば「健康」とされ、“私は現在、不健康で日常生活に制限がある”と感じて生活していれば「不健康」とされます。つまり極端に言うと、なんらかの持病があり医療のサポートを受けている場合でも、本人が“私は現在、健康で日常生活に制限はない”と感じていれば「健康」とされ「健康な期間」に含まれます。


「健康」とは肉体的・精神的・社会的に良好な状態で、単に病気ではない状態や、肉体面のみ良好なだけでは、健康であるとは言い難いのです。
 

「平均寿命」の基本

不健康な期間を含め、生まれてから亡くなるまでの年数の期待値です。

日本人の平均寿命は、男性は81.41歳、女性は87.45歳(2019年時点)*1。 注意したいのは「0歳時点」での期待値だという点です。「2021年の平均寿命は約81歳」と書かれている場合、2021年に“亡くなった方”の享年の平均が81歳ということではありません。

出典:

*1 厚生労働省,「令和4年版厚生労働白書」,2022年 をもとに記載


Q2 「健康寿命」を終えたらどうなる?

A. 意外かもしれませんが、人生の最後に不健康な期間がまとまっているわけではありません。

男性の平均寿命が約81歳で、健康寿命が約72年ということは、晩年の約10年間ほとんどの人は病気や寝たきりになるんだな……というのは誤解です。

 

Q1でお話したように、健康寿命は具体的な年齢ではなく、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。例えば20代で、“私は今不健康で、日常生活に制限がある”と感じながら1年を過ごした場合、その1年間は健康な期間には含まれません。人生全体を見たときに健康な期間と不健康な期間があり、健康な期間のトータルが健康寿命となります。

つまり、不健康な期間は必ずしも人生の最後にまとまっているわけではないのです。

 

とはいっても、やはり晩年には看護や介護を必要とする方が多くなります。一生を終えるまでずっと心身ともに健康に過ごせる方は、2023年現在ではほんの一握りというのが実状のようです。


Q3 何歳くらいから「健康寿命」を意識する必要があるの?

A. 少しでも長く、健康に自分らしく生きたいと思うすべての方に、今日から意識してほしいです。早すぎる・遅すぎるということはありません。

健康寿命は、生まれた瞬間からカウントが始まっています。

そのため、年齢を問わず、すべての方に一日も早く意識してほしいです。それに伴って行動を変えられれば、健康でいられる時間を延ばすことにつながります。

 

逆に、「自分は若いから関係ない」「高齢だからもう行動しても意味がない」となにもせずにいると、健康寿命は短くなってしまう可能性が高いでしょう。この記事を読んでくださっている方に「自分ごと」として捉えてもらえたらと思います。


Q4 「健康寿命」を延ばすために今日からできることは?

A. タニタとしては、とくに体重と体組成を意識してほしいと考えています。

健康寿命を延ばすためには、次のことを意識してみてください。

  • 適正な体重と体組成を維持する
  • 口腔内を健康に保つ
  • 喫煙はせず、他人のたばこの煙も避ける
  • お酒は適量に抑える
    …お酒を飲む場合は、1日あたり男性は純アルコール量で約23g(日本酒なら1合程度)、女性はその半分に抑えて。休肝日を設け、寝酒は避けて。
  • 年齢に応じて、多すぎず少なすぎず、栄養バランスのよい食事を摂る
    …塩分量は最小限に、食物繊維や大豆製品、魚は多く摂るように意識を。
  • 日頃から、できるだけ多く体を動かす
    …今より1日に10分多く動くことから始めましょう。
  • 質のよい睡眠をとる
  • ストレスを避けつつも、社会とのかかわりも大事にする
  • 感染症の検査や予防接種を受ける
  • 定期的に健康診断を受け、厚生労働省の指針に基づきがん検診を受ける
     

なかでもタニタとして、とくに注視してほしいのは「適正な体重と体組成の維持」についてです。

また意識するのは体重だけでは不十分で、その中身の体組成も意識することが大切です。というのも、体重が同じでも例えば「脂肪が多くて筋肉が少ない人」と「筋肉と脂肪のバランスがとれている人」とでは、健康状態が異なるからです。


ぜひ体組成計でからだをはかり、健康寿命を延ばすためにも筋肉量やその他の体組成が適正かを含めて確認してもらえたらと思います。


Q5 「健康寿命」を延ばすためのサポートをしてくれるアイテムはある?

A. “はかる”ことで、その人に合った運動や食事についての情報をご提供できるアイテムがあります。

タニタの「FRシリーズ」は、筋力計・体組成計・歩数計の計測結果から、心身の健康状態を総合的に(食事摂取・筋力・心身の疲労・身体機能・活動量という5つの観点から)分析、判定します。

結果をふまえて運動と食事についてアドバイスや提案をする機能もあるので、シニア層の方だけでなく、健康寿命を意識するすべての方のからだづくりに役立つはずです。

この記事を読んで「自分のからだは今どんな状態なのだろう」と感じた方には、まず体組成計ではかってみることをおすすめします。体重だけでなく、体脂肪や筋肉量などがわかると、自分がこれからどんな行動を起こすべきかが見えてきます。


「できそうなことから」始めて健康寿命を延ばそう

今日をきっかけに、「これならできそう」と思えるものから始めてみてください。

Q4で意識してほしいことをいろいろお話ししましたが、すべて完璧にというのはなかなか難しいと思います。自分のからだや生活、心と向き合って、無理なくできることから取り入れることをおすすめします。

 

みなさんが今日から健康寿命について考え、一日も長く元気で、自分らしい日々を過ごせるよう願っています。

参考文献:

電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整備事業(6NCコホート連携事業),「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」,2021年
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0219/index.html

をもとに記載
 

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

この記事はタメになりましたか?

SHARE

人気記事ランキング

RANKING

人気記事ランキング

RANKING

CONNECT つながる