運動

高齢者にもおすすめ! 負担の少ないスロートレーニング

2024.02.02

いつまでも元気で自分らしく生活したいと考えるなら、日常的な筋肉トレーニングが欠かせません。しかし、運動習慣のない方がいきなり激しいトレーニングを行うと、目的に反して健康をそこなう結果になってしまうことも。 そこでタニタがおすすめしたいのが「スロートレーニング」。そのメリットや具体的なトレーニングメニューを、開発部で新商品のアルゴリズム開発やプロアスリート支援を担当する佐藤がご紹介します。

プロフィール

株式会社タニタ 開発部 生体科学課 佐藤 航大

2021年入社。おもに新商品のアルゴリズム開発を担当。また、学生時代はスポーツ科学を専攻。CSCS*保有。その知識を活かし、プロサッカーチームやプロバスケットボールチームなど、さまざまな競技のアスリート支援に関する業務も担当している。
 

*CSCS(Certified Strength and Conditioning Specialist)…傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材を認定する資格


 


スロートレーニングとは?

スロートレーニングとは、その名のとおり「ゆっくりとした動作で行うトレーニング」です。

ダンベルやバーベルなどを使った負荷の大きいトレーニングは、関節に負担がかかったり、血圧が上がりやすかったりといったデメリットがあります。一方、スロートレーニングはからだへの負担が少なく、さらに特別な器具を使わずに筋肉を鍛えられるので、高齢者やジムに通うのが難しい方にもぴったり

 

軽い負荷で大きなトレーニング効果を得るため、次のことを意識して行います。

  • 筋肉をゆっくりと伸縮させること
  • 関節(スクワットなら膝、腕立て伏せなら肘)を伸ばしきらず、「力を入れた状態」をキープすること


 


スロートレーニングで筋肉を鍛えられるメカニズム

時間をかけて、かつ関節を伸ばさずに行うスロートレーニングでは、「筋肉が常に緊張している状態」がキープされます。すると、筋肉の周りの血管が圧迫されて血流が制限され、血液によって筋肉に運ばれる酸素の量が少なくなります。

この「低酸素の状態」は、重量による負荷をかけたトレーニングを行ったときにも起こる現象で、筋肉を大きくするうえで重要なポイント。

 

スロートレーニングでは動きのスピードと関節を伸ばしきらないことで、通常のトレーニングでは筋肉に大きな負荷をかけることで、低酸素状態を生み出します。


高齢者におすすめのスロートレーニング5選

フレイルやサルコペニアなどを予防する意味でも、安定した歩行や姿勢の維持に必要な筋肉を鍛えるのがおすすめです。

<トレーニングを行う適切な回数と頻度>

週に2~3回、以下の5つのメニューを、それぞれ8~10回×3セットを目安に行います。同じ部位を鍛えるときは2日以上間を空けたほうがいいので、毎日トレーニングの時間を作れる方は、メニューを変えながら取り組んでください

 

<運動習慣がない方への注意点>

現在、習慣的に運動を行っていない方がいきなり無理をすると、ケガや障害につながります。最初は回数にこだわらず、「自分の限界を目指す」と考えてください。

また、痛みを感じるトレーニングを行う必要はありません。次の5つのメニューのなかで、できるものだけを選んでください。転倒の不安がある方は、必ず近くに人がいる環境で行ってください。

おすすめのスロートレーニング 1:スクワット

足を肩幅くらいに開き、3~5秒かけてお尻を下げ、3~5秒かけて上げます。

このトレーニングでは、歩くときや立ち上がるときに重要な役割を果たすふとももの筋肉(大腿四頭筋)や、お尻の筋肉(大殿筋)を鍛えられます。

 

 

  • 腰が丸まらないように、また膝を伸ばしきらないように気をつけながら、できるだけ深くしゃがむ。
  • 負荷が大きすぎると感じる場合は、膝に手をつき、腕の力を使ってもOK。


 

おすすめのスロートレーニング 2:ブルガリアンスクワット

片脚をイスや台にかけ、もう片方の足の力のみでスクワットを行います。膝を伸ばしきらないように注意しながら、上げ下げそれぞれに3~5秒をかけてください。

このトレーニングでは、ふとももの筋肉(大腿四頭筋)や、お尻の筋肉(大殿筋)が鍛えられます。「スクワット」と同じく、歩く動作や立ち上がる動作をする際に必要な筋肉にアプローチします。 

  • 負荷が大きすぎると感じる場合は、膝に手をつき、腕の力を使ってもOK。

おすすめのスロートレーニング 3:プッシュアップ

からだを伸ばした状態で立ち、手とつま先のみを床につけます。姿勢をキープしながら、3~5秒かけてからだを下げ、3~5秒かけて上げます。

このトレーニングでは、物を胸の前で抱えたり、うつ伏せの状態から起き上がったりするために重要な胸の筋肉(大胸筋)が鍛えられます。


 

  • 肘を伸ばしきらないようにする。
  • 負荷が大きすぎる場合は、膝をついたり、立位でテーブルに手をついて行ったりしてもよい。

おすすめのスロートレーニング 4:クランチ

仰向けに寝た状態で膝と股関節を直角に曲げ、上体を限界まで起こします。3~5秒かけて起こし、3~5秒かけて戻してください。

このトレーニングでは、仰向けで寝ている状態から起き上がるときに重要なお腹の筋肉(腹直筋)が鍛えられます。
 

  • 肩甲骨が床につかないように注意する。

おすすめのスロートレーニング 5:バックアーチ

うつ伏せになり、頭の後ろで手を組んだ状態で、上体を3~5秒かけてできる限り反らします。3~5秒かけ、肩が床につかないところまで戻します。

このトレーニングでは、「まっすぐな姿勢を保つ」ために重要な背中の筋肉(脊柱起立筋)が鍛えられます。


ウォーキングでも、スロートレーニングと同じ効果がある?

高齢者に適した運動というと、ウォーキングを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか? なかには「自分は毎日ウォーキングしているから、スロートレーニングは必要ない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、同じ運動でも、ウォーキングとスロートレーニングでは得られる効果が異なります。


 ・ウォーキング(有酸素運動)に期待できる効果

心臓や呼吸器の機能改善。現在よりも長い時間運動を続けられるからだを目指せます。

 

・スロートレーニング(無酸素運動)に期待できる効果

筋肉量や筋力の増加。
 そのため、健康維持を目指すなら、両方に取り組むのがベスト。ウォーキングを毎日の習慣にしたうえで、スロートレーニングを週に数回実践するのが理想的です。


 

わかっていてもやる気が出ない…そんなときは

運動は継続が大事ですが、習慣化するまではなかなかおっくうに感じるもの。しかも、目に見えてからだに変化が起こるまでには時間がかかります。そこで課題になるのが、モチベーションの維持です。

 

やる気を引き出すためにぜひ活用してほしいのが、タニタの体組成計。筋肉の質(筋質)は比較的早い段階で数値が変化するため、毎日はかることがきっと継続の助けになるはずです!


毎日5分のスロートレーニングで健康づくりを!

筋肉量は加齢とともに減る傾向にあり、そして筋肉量の減少はからだにさまざまな悪影響を及ぼすことがわかっています。

でも、年齢を理由に健康を諦める必要は決してありません。筋肉は、何歳からでも増やせます。1日に5分間だけでもいいので、ぜひスロートレーニングで筋肉を鍛えて、今よりもっと健やかなからだを目指してください。

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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