食事
2023.06.16
筋肉を増やすには、「減量」だけでなく「増量」も必要。相反することのように思われますが、ストイックなからだづくりに取り組んでいる方なら、そんな話を耳にしたことがあるのではないでしょうか? 「増量は本当に必要?」「リスクはないのか?」と感じている方のため、この記事では、筋肉量を増やすために増量期と減量期を設ける食事管理方法についてご紹介。アスリートデータを活用し、新指標の開発に携わった佐野がご説明します。
INDEX
株式会社タニタ 開発部 佐野 あゆみ
2011年入社。体組成計に搭載する新指標の作成や、あらゆる年代の方の健康づくりをサポートする新製品の開発などを担当。筋肉の質やつき方のバランスが「どれくらいアスリートの筋肉特性に近いか」を推定する新指標「MBA判定」の開発にも携わった。
「ハードな筋トレや厳密な食事管理を行ってからだづくりを続けているけれど、あるときから思うように筋肉が増えなくなってきた」。アスリートの方やトレーニングに本格的に取り組んでいる方から、こんな嘆きの声をよく聞きます。
こんな「停滞期」を打破したい場合、「増量」と「減量」によって筋肉量を増やす方法が効果的です。
筋肉を増やすには、トレーニングだけでなく、たんぱく質を中心に、糖質や脂質・ビタミン・ミネラルなど幅広い栄養素が必要になります。増量期にこれらを十分に摂取することで、筋肉量を増やしやすい状態をつくれます。
増量期には「摂取カロリー量>消費カロリー量」になる食事をとり、筋肉量を増やすために必要な栄養をからだにしっかりと与えます。
増量に必要なおおよそのカロリーは、厚生労働省が発表している日本人の推定エネルギー必要量を参照してください。推定エネルギー必要量=必要な摂取カロリー量となるため、それを上回るカロリーが必要となります。
ただ肥満や痩せなど標準的な体型ではない方は、一覧表から読み取れる値が正確でない可能性が高いので注意が必要です。タニタの体組成計や活動量計は個人の体組成を考慮して、基礎代謝量を表示しています。その基礎代謝量と1日の活動量をもとに、より正確な推定エネルギー必要量を把握することが可能なので、参照してみてください。
一方、減量期には「摂取カロリー<消費カロリー」になる食事内容にし、増量期に増えた脂肪を落とします。
また、からだへの負担や筋肉量を長期的に維持することを考慮すると、増量期と減量期の期間は合わせて3~6ヶ月必要だと考えています。目標に向け短期間で取り組む必要がある場合はこの限りではありませんが、基本的にはじっくり時間をかけることをおすすめします。
これまでのフィットネス業界では、「増量期には消費カロリーを大幅に上回る量のカロリーを摂取すべきで、脂肪がつくことはあまり気にしなくてもいい」と考えられてきました。
しかし最近の研究で、減量期に「脂肪だけを落とす」のは難しいことが明らかになりました。摂取エネルギーを極端に制限して運動すると脂肪だけでなく筋グリコーゲンも一緒にエネルギーとして使われて、筋肉の分解が進んでしまうケースが多いことがわかってきたのです。
最近では、増量期も大幅な摂取カロリーオーバーは避けるとともに、栄養バランスにも配慮し、できるだけ脂肪をつけずに筋肉を増やすべきとされているようです。
増量と減量の組み合わせによるからだづくりは、以下のような方に適しています。
厳しいトレーニングは行っていない場合でも、体脂肪率が低く筋肉を増やすためのエネルギー源が不足している方には、増量と減量を組み合わせることをおすすめします。一方、体脂肪率が高く筋肉を増やすためのエネルギー源が充足している方は、増量期を取り入れる必要はありません。
増量期と減量期を設けて筋肉量を増やすには、徹底した自己管理を長期にわたって行う必要があります。
そのため、ストイックさや高いモチベーションがあること、明確な目標設定と達成に向けたプランニングができることが必要条件となります。
不安を感じる方におすすめしたいのは、「がんばれる環境」を整えることです。例えば、目標に向けて一緒に取り組む仲間がいると心強いかもしれません。
また、睡眠不足やストレスなどの「健康面の不安」がある方は、健康障害を引き起こさないために、まずは健やかなライフスタイルを整えることから取り組んでください。
増量期と減量期では、それぞれ次の点に気をつけながら食事管理に取り組んでみましょう。
まずは、あなたに必要なおおよその摂取カロリー量を把握。それを上回るカロリーになるように食事を調整します。
とくに、たんぱく質を積極的に摂るようにしてください。ただし過剰に摂った分は脂肪になるので、「たくさん摂る」ではなく「毎日欠かさず適量を摂る」ことが重要です。
減量期には「摂取カロリー<消費カロリー」になるように調整する必要がありますが、カロリーにだけ気をとられていると、筋肉量が低下し、基礎代謝が下がって「太りやすく痩せにくいからだ」になってしまう可能性があります。
そんな事態を防ぐためには、カロリーを抑えつつも、十分に栄養を摂ることが必要です。
厚生労働省が発表しているPFCバランスを基準として、それよりも脂質や糖質を少なめに、たんぱく質は多めになるように意識しながら食べるようにしましょう。
▼15~64歳の理想的なPFCバランス(総カロリーに対して)
P:たんぱく質 | 13~20%(※) |
---|---|
F:脂質 | 20~30% |
C:炭水化物 | 50~65% |
また、必ず「空腹になる時間=脂肪が燃焼する時間」を設けることもポイントです。
ストイックにからだづくりに取り組む方にこそ意識してほしいのは、「過剰ながんばり」にならないこと。
とくに、減量期に厳しいカロリー制限をして栄養不足の状態が続くと、貧血や疲労蓄積につながる恐れがあります。特別な事情がある場合を除き、無理のないペースと内容で、健康をそこなわないように続けてくださいね。
ストイックに自分のからだと向き合おうとするほど、数値管理の負担が大きくなると感じていないでしょうか。そんな方に検討してほしいのが、便利なツールを活用することです。
タニタには、アプリを使って食事や水分の摂取量を記録し、体重と併せて管理することができるポケッタブルスケール『GRAMIL』や、活動量計、体組成計があります。これらが、できるだけ楽しく前向きなからだづくりの一助になればうれしいです。
私たちも、今以上にみなさんを力強く支えられるよう、これからも研究開発に取り組んでいきます!
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