タニタの考える健康

健康診断で血糖値が高いと言われたら。血糖値を下げる方法

2024.04.22

糖尿病は、今や国民の10人に1人が患っている身近な病気のひとつです。 特に健康診断で血糖値が高めという結果が出た方は、今はまだ糖尿病や境界型糖尿病(糖尿病予備軍)ではなくても、他人ごとではありません。一日も早く、血糖値を下げるための行動を起こすことが必要です。 今回は開発部の木下が、血糖値を下げる具体的な方法をご紹介。 すぐに実践できることばかりなので、ぜひ今日から一歩を踏み出してください。

プロフィール

株式会社タニタ 開発部 生体科学課 木下 裕梨

2008年入社。長らく尿糖計の生産管理に携わった後、2018年から歩数計の開発を担当。歩数計「FR-300L」のアルゴリズムを構築した。現在は、加速度センサーを利用したさまざまな製品や、高齢者の健康に寄与する製品の研究開発に取り組んでいる。


血糖値が高い人は血圧にも注目して

健康診断で血糖値が高く出た方は、血圧にも注目してみてください。血糖値が高い方は血圧も上がりやすい傾向にあり、糖尿病の方の高血圧頻度は、健康な方の2倍にもなります。


なぜそうなるのかというと、血中にたくさんの糖があることで浸透圧が高まり、細胞から血液に水分が多く流れ込んで、血液量が多くなるからです。血液量が多くなれば、血管の壁にかかる負荷も大きくなり、徐々に血管が傷んでしまいます
 

また、高血糖になると、血糖値を正常化する働きがある「インスリン」というホルモンが多く分泌されます。インスリンには血管を広げにくくしたり、血液量を増やしたりする作用があり、これも高血圧を引き起こす原因になります。

「インスリン」とは?

インスリンは、食後に血糖値が上がりはじめると膵臓から分泌されるホルモンです。

血中のグルコースを細胞に取り込ませ、血糖値を正常に保つ働きがあります。糖尿病になると、インスリンが分泌されなくなったり、効き目が弱くなったりして、血糖値が高い状態が持続します。


血糖値が高いと肥満になりやすい

血糖値と肥満には深い関係があることがわかっています。具体的には、BMIが25以上の方は、標準体重の方に比べて2型糖尿病になるリスクが2倍に。30以上になると、リスクはなんと6倍にまで増加します。日本では、BMIが25以上の方を肥満と定義しているため、肥満の方は糖尿病になりやすいといえます。

 


その理由は、肥満になって内臓脂肪が過剰に蓄積すると、内臓脂肪からインスリンが効きにくくなる物質が分泌され、血中のグルコースを細胞内に取り込めずに高血糖が続くからです。

さらに、血糖値が高い状態を放置していると、膵臓の機能が低下します。十分な量のインスリンをつくれなくなり、ますます血糖値が上がりやすくなって、最終的には糖尿病になってしまうのです。


肥満体型の方は、ダイエットに取り組むことで血糖値を下げる効果が期待できます。
 


血糖値を正常値まで下げるには

血糖値を正常値まで下げるために個人でできることは、食事と運動習慣の見直しです。最近血糖値が高くなってきている方は、ぜひ以下の方法で対策してみてください。

血糖値を下げるための食事面のアプローチ

食事の際に以下の点を意識することで、高血糖を予防できます。可能なことから始めましょう。

POINT 1 腹八分目にする

食べ過ぎは高血糖を招きます。「常に満腹感を得ようとするクセ」を改善しましょう。

POINT 2 栄養バランスに配慮する(糖質のみの食事を避ける)

糖質ばかりの食事は血糖値スパイクの原因になります。

POINT 3 朝食を欠かさず食べる

糖尿病患者の方を対象とした調査では、一日の食事量が同じでも、朝食を抜くと血糖値が高くなることがわかっています。また、きちんと朝食を食べれば、空腹による昼食や夕食の食べ過ぎも予防できるでしょう。

POINT 4 汁物や野菜などの副菜から食べる

食後血糖値の上昇が穏やかになります。

POINT 5 ひと口20回以上噛んで食べる(早食いをやめる)

食後血糖値の上昇が穏やかになります。また、少量で満腹感を得られるため、高血糖と関係の深い肥満を防ぎやすくなります。

POINT 6 夕食は寝る直前(2時間)を避ける

寝る直前に食べると摂取したカロリーを消費できず、肥満につながります。
また、就寝中に高血糖の状態が続き早朝に低くなると、空腹感が強くなります。これが朝食の食べ過ぎを招きます。

POINT 7 塩分を控えめにする

味つけが濃いと食べ過ぎに結び付きやすく、肥満につながりやすくなります。

血糖値を下げるための運動面でのアプローチ

運動は、血糖値のコントロールに効果的。運動することで「血糖をエネルギー源とする代謝」が翌日まで続くことがわかっています。運動をきっかけに、血糖値が上がりにくい状態をしばらくキープできるのです。

 

運動内容は、ウォーキングをはじめとした有酸素運動をメインに行ってください。血糖をエネルギー源として使うため、血糖値を下げられます

ただし、より効果をアップするには筋トレが必要。筋肉は「血糖をエネルギーとして利用できる場所」です。つまり、筋肉を増やすと、有酸素運動による血糖値を下げる効果がさらに高まります。

 

運動強度は、少し息が上がる、汗ばむ程度が適切。これを一日最低15~20分行います。脂肪の消費にもつながるので、特に肥満の方は積極的に実践することをおすすめします。


また、運動するベストタイミングは食後です。食後15分くらいから、体操や散歩などの軽い運動をすると、血糖値の上昇を抑えやすいことがわかっています。立っているだけでも効果があるので、食後は洗い物をするなど、無理のない範囲でからだを動かしてください。
 


特に朝食は炭水化物に偏りがち。できることから始めよう

私自身、高血糖を予防するため平日の朝食は納豆ごはんと野菜が入ったお味噌汁の組み合わせにしています。パン食は週末のお楽しみ。忙しい朝の食事は特に炭水化物に偏りがちですが、みなさんも意識して改善してもらえたらうれしいです。
自分にできそうなことから少しずつでもいいので、ぜひ今日から血糖値の改善に取り組みましょう!
 

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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