タニタの考える健康

健康のために知っておきたい旬ワード「フレイル」、その認知率は……

2023.07.14

「フレイル」という言葉をご存知でしょうか? 最近テレビや新聞などでもよく聞くようになってきたワードですが、これっていったいなんなの? と思う人もまだまだ多いかもしれません。 タニタでは、 全国の40歳以上の男女2500人を対象に、2022年8月5日から9日の5日間、インターネットリサーチにより「人生100年時代の健康とフレイルに関する調査」を実施しました。その結果、フレイルに対する日本人の意識について、意外な実態が浮き彫りになりました。


そもそもフレイルってなに?

フレイル(虚弱)とは主に「加齢により、心身が弱った状態」のこと。

 加齢に伴い心身の活力が低下するとともに、社会的なつながりが薄れている状態を指し、“健康な状態”と“要介護状態”の中間の段階といわれています。要介護に移行するリスクが高い一方、適切なケアによって健康な状態へと戻ることが可能だといわれています。


フレイルは大きく3つの要素があり、筋力低下や口腔機能の低下などといった「身体的フレイル」、うつや認知機能低下などといった「精神的フレイル(心理的・認知的フレイル)」、閉じこもりがち、孤立などといった「社会的フレイル」に分けられます。
日本人の高齢者のうち、フレイルが8.7%、その前段階であるプレフレイルは 40.8%といわれており、女性やより歳を重ねた場合、社会経済的状態や健康状態が悪いほど、フレイルの割合は高い傾向があることが報告されています※1。

 

聞きなれない言葉で、意識があまり向きにくいかもしれませんが、早めに気づいて早めに対処することで元気な状態に戻れることがポイントです。
 


寿命=健康寿命と考えている人が多数派?

世界的に見ても長寿国である日本ですが、「長寿」と「健康長寿」は少し意味が異なります。

亡くなる直前までピンピンしている「ピンピンコロリ」、長期の寝たきりで最期を迎える「ネンネンコロリ」という言葉もあるほど。もちろん天寿を全うするときまで元気にいたいものですが、現実は長い間、寝たきりになり最期を迎えることもあります。


健康寿命の理想と予想について調査した結果が以下となります。

「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活したいと思う年齢(理想の健康寿命)」を聞いたところ、平均は男性が85.55歳、女性が86.99歳となりました。

厚生労働省の調査によると健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳で、理想の健康寿命との間に男性では12.87歳、女性では11.61歳の隔たりがありました。大ざっぱに言うと、「健康でいられる年齢」の理想と現実に10歳以上の差があった、ということです。


理想の健康寿命よりも統計上の健康寿命が男女ともに10歳以上下回っているということは、多くの人において日常生活で何らかの制限がある状態で過ごす期間が、理想よりも長くなる可能性があることになります。  


フレイルという言葉を知っているのは「全体で4割強、55歳未満では3割以下」

健康寿命を延ばすこと、つまりピンピンコロリを実現する鍵のひとつがフレイルですが、そもそもこの言葉はどれくらい浸透しているのでしょうか。

“フレイル”という言葉を知っているかを聞いたところ、「内容まで知っている」が15.8%、「聞いたことはあるが、内容は知らない」が26.1%で、合計した「認知率(計)」は41.9%となりました。

年齢別にみると、「認知率(計)」は75歳以上では半数を超えていますが、55歳未満では3割未満と低い割合にとどまりました。


また、2020年4月から75歳以上の後期高齢者を対象に、特定健康診査の「標準的な質問票」の代わりに、フレイルなど高齢者の特性を踏まえて健康状態を総合的に把握するための質問票による問診を行う健診(通称フレイル健診)が開始されています。

75歳以上での認知率の高さはそのような背景も影響しているのかもしれません。


“フレイル”になると起こることとして知っているもの 2トップが「認知症リスクが高くなる」「転びやすくなる」

フレイルによって引き起こされる変化はたくさんありますが、どういった変化が知られているのでしょうか。

ひとつ前の設問で“フレイル”について内容まで知っている人(395名)を対象に、“フレイル”になると起こることとして知っているものを聞いたところ、「認知症リスクが高くなる」と「転びやすくなる」(いずれも83.8%)が突出して高くなりました。

次いで高くなったのは、「病気の回復が遅くなる」(58.0%)、「疲れやすくなる」(57.7%)、「怪我の回復が遅くなる」(54.4%)でした。  


6割強の人が「自身がフレイルになることが心配」、50代前半では7割に

フレイルという言葉をよく知らないものの、「なんとなくならないほうがよさそう」というイメージはあるのかもしれません。

全回答者を対象に、自身がフレイルになることについてどのくらい心配か聞いたところ、「非常に心配である」が 13.9%、「やや心配である」が47.3%で、合計した『心配である(計)』は61.2%、「全く心配ではない」が9.3%、「あまり心配ではない」が29.5%で、合計した『心配ではない(計)』は38.8%となりました。 

年齢別にみると、『心配である(計)』と回答した人の割合は、50歳~54歳(70.0%)が最も高くなり、45歳~49歳 (69.2%)、55歳~59歳と60歳~64歳(いずれも66.8%)が続きました。  

 

最後に、「いくつになっても活動的でフレイルにならないと思うアニメ・漫画のキャラクター」について自由回答で答えてもらいましたが、1位「フグ田サザエ(『サザエさん』)」(339名)、2位「ドラえもん(『ドラえもん』)」(143名)、3位「孫悟空(『ドラゴンボール』)」(135名)、4位「モンキー・D・ルフィ(『ONE PIECE』)」(109名)、5位「アトム(『鉄腕アトム』)」(49名)となりました。
ロボットや超人的能力を持つヒーローの名前が次々にランクインしていますが、昭和時代の活力にあふれた一般女性像を描いたサザエさんがダントツという結果に。

「フレイル」の認知率が約4割という中での回答ではありますが、認知度が上がればまた異なる結果になるかもしれません。調査についてそのほかの調査結果は以下からご覧ください。


今からできる「タニタ STOP!フレイル健康体操」

ここまで読んで、ちょっとフレイルに関心が出てきた方や、フレイル対策を検討しようとしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいフレイル対策、ありますよ。


筑波大学、米原市、タニタの共同研究の一環で、60歳以上の方のからだの衰え対策のために考案したオリジナル体操を公開しています。この体操は、有酸素運動・筋トレ・バランス運動・有酸素×脳トレの4種類のプログラムで構成されている約20分の体操。

自宅で気軽に行えるので、ぜひご自身やご家族でトライしてみてください。

プロフィール

合同会社サウザンスマイルズ
タニタのグループ会社。社名にもなっている「もうあと1000人を笑顔に」という理念のもと、主要スクリーンリーダーにも対応したウェブサイトの運営やモジュールの開発などを行っています。

サウザンスマイルズ ウェブサイト:
https://www.thousands-miles.com/

参考文献:

※1 Murayama H, Kobayashi E, Okamoto S, et al. National prevalence of frailty in the older Japanese population: Findings from a nationally representative survey. Archives of Gerontology and Geriatrics, 2020.

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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