PRODUCT STORY

エスビー食品「タニタ食堂監修 適塩カレー」開発秘話

2024.03.01

2024年2月26日、タニタ食堂とエスビー食品のコラボレーションによるレトルトカレー「タニタ食堂監修 適塩カレー」の販売をスタートしました! 塩分量を1g以下に抑えつつおいしさを追求した今回のカレーには、2社がこれまでに培ってきたノウハウが詰まっています。 満を持して発売日を迎えたこだわり商品の開発秘話を、担当者が語ります。

回答者プロフィール

エスビー食品株式会社 井手下 美穂
エスビー食品株式会社 マーケティング企画室 デジタルマーケティングユニット所属。お客様の様々な食需要にお応えする自社直営通販サイトの運営管理を行う。今回のコラボレーションでは、「おいしさと健康の両立」を目指し、適塩カレー商品化までの進行管理を担当した。

株式会社タニタ食堂 小武内 沙織
株式会社タニタ食堂 商品本部所属。管理栄養士として「タニタ食堂」や「タニタカフェ」のメニュー開発や品質管理、監修商品の開発を担当している。今回のコラボレーションでは、使用する食材の提案や栄養価の調整などを行っている。


「タニタ食堂監修 適塩カレー」とは

「タニタ食堂監修 適塩カレー」は、タニタ食堂とエスビー食品のコラボレーションによって誕生したレトルトカレー。「旨みとけ込むビーフカレー」「ごろごろ野菜のカレー」「スパイス香るキーマカレー」の、個性豊かな3種類を展開しています。


その最大の特徴は、本格的なおいしさや満足感を実現しつつも、「タニタ食堂が推奨する健康的な食事の基準」をクリアしていること。

 

具材は噛みごたえがあり、塩分量は1g以下に抑えています。毎日の塩分摂取量を気にされている方、健康的な食事を心がけている方にぜひ食べていただきたいカレーです。


エスビー食品とタニタ食堂のコラボレーションのきっかけ

今回のコラボレーション実現までの経緯を教えてください。

井手下(エスビー食品):

エスビー食品では、日本における“食塩摂取量の多さ”の問題に以前から着目していました。健康志向が高まる中で、減塩の必要性に対する認知度は向上しているにもかかわらず、実践できている方は多くありません。そんな現実に一手を打ちたいと考えていたんです。
そこで企画したのが、塩分量を1gに抑えたレトルトカレー。商品化にあたって、「おいしさと健康の両立」を掲げているタニタ食堂さんに監修をお願いすることにしました。

タニタ食堂さんとは過去に業務用カレーを一緒につくった実績があり、2度目のコラボレーションになります。

2社間のつながりは以前からあったんですね。

小武内:

タニタ本社とエスビー食品さんのスパイスセンターはどちらも板橋区にあり、2社の距離はわずか徒歩8分。だいたい800歩で行き来できるんです。「地域交流ふれあい広場健康まつり」で交流を深め、同じ板橋区で頑張る企業として協力してなにかできないかという話になり、2021年4月に最初のコラボレーションに至りました。

 

井手下(エスビー食品):

開発した業務用カレーは、板橋区役所の1階レストラン「CAFÉ DINNING NAKAJUKU」食堂でも提供いただきましたね。実は、その業務用カレーに改良を重ねてできあがったのが、今回の三つのカレーなんです。

今回のコラボレーションが決まったときの心境を教えてください。

井手下(エスビー食品):

これは大変な取り組みになるだろうと身の引き締まる思いでした。というのも、一般的なカレーの塩分量は1食あたり2g強。今回の企画を実現するにはその半分以下にまで抑える必要があったんです。
一方で、香辛料の辛みや風味を生かしておいしさを諦めずに塩分量を減らせれば、会社として「今よりも一歩先」にいけるとも考えていました。さらに、タニタ食堂さんからアドバイスをもらう中で、新しい視点やノウハウを獲得して成長できることへの期待もありましたね。

 

小武内:

タニタ食堂では、1食の塩分量を3g以下に抑えたメニューの開発に長らく取り組んでいます。物足りなさをカバーするためによく活用するのが、出汁やスパイス。これらをうまく活用して絶対にいいものをつくろうと意気込んでいました。


「適塩」へのこだわり

先ほど日本の食塩摂取量が多いとうかがいましたが、かなり良くない状態なのでしょうか?

 

井手下(エスビー食品):

2020年に厚生労働省が定めた「一日あたりに摂取する食塩の目標量」は、男性7.5g、
女性6.5g未満(※1)となっています。しかし、2019年に厚生労働省が発表している「国民健康・栄養調査」によると、塩分摂取量の平均は男性が10.9g、女性は9.3g(※2)と、目標量をオーバーしているんです。男性も女性も、推奨量の1.4~1.5倍ほど塩分を摂取していることになります。


この背景にあるのは、醤油や味噌といった塩分を多く含む調味料が豊富な日本の食文化。日本ならではの守るべき食文化である一方、高血圧症大国といわれる大きな理由にもなっています。

 

※1 厚生労働省発表「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」P277 表1 ナトリウムの目標量(食塩相当量:g/日)を算定した方法 (D)15歳以上の想定数値を参照
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
※2 厚生労働省 令和元年(2019)「国民健康・栄養調査」P24 食塩摂取量の状況を参照
 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

 

小武内:

塩分を取りすぎると、からだの中に水分をため込もうとしてしまい、血液量が増えるので心臓に負担をかける可能性もあります。
醤油や味噌による味つけは大切な文化として守りつつも、健康リスクを考えると、塩分を控える工夫が必要なのは間違いありません。今回のコラボレーションカレーは、そんな日本の食の課題と向き合って開発しました。

商品は「減塩」ではなく「適塩」なんですね。

井手下(エスビー食品):

「減塩」というと、「味が薄そう」「おししくなさそう」といったイメージを抱く方が少なくありません。でも、私たちが発信したいのは、健康的な生活を送るためのポジティブなメッセージ。「適塩」という表現には、「食の明るい未来」に向けての提案という思いを込めています。

 

小武内:
健康食にはどうしても「なにかを減らす」というマイナスのイメージがつきまといがちなので、ワードチョイスにもこだわりました。

「おいしいのに適塩」を叶えた三つの工夫

  • [POINT 1 ]アクセントのある食感で、満足感アップ。

 

レンコン、にんじん、くわいなどで食感にアクセントを加え、満足感アップ。咀嚼を繰り返すことで、素材本来のおいしさをしっかりと感じられ、また消化吸収の助けにも。

 

  • [POINT 2 ]スパイスの辛みと香りで、味の変化を楽しめる。

 

カレーの種類に合わせて、スパイス&ハーブを配合。「香り」と「辛み」によって、最初から最後まで食べ飽きることがありません。

 

  • [POINT 3 ]うまみ成分との相乗効果で、豊かな味わいを実現。

 

縁の下の力持ち的存在であるうまみ成分、それに相乗効果をもたらす脂や酸味、甘み、苦みを活用し、豊かな味わいを実現。


個性豊かな三つのラインアップ

三つのカレーそれぞれの魅力や、開発時にこだわったポイントについてお聞かせください。

旨みとけ込むビーフカレー

井手下(エスビー食品):
ビーフのうまみ をベースにソテードオニオンの甘みを溶け込ませたソースに、ごろごろのじゃがいも、にんじんを入れて、しっかり食べ応えのあるカレーに仕上げました。
また、爽やかですっきりとした香り立ちのカルダモンとローレルで、先味(口に入れた瞬間に感じる味)にインパクトをつけたのも特徴です。中盤から後半にかけては、牛肉の旨味と野菜の甘み、そして少量のブラックペッパーによる切れ味を感じられ、最後まで食べ進めたくなる味になっています。

 

小武内:
実は、この「旨みとけ込むビーフカレー」が最も開発に苦労しました。当初は欧風カレーに仕上げる予定でしたが、ソースの味わいに重きを置く欧風カレーを、塩分量を抑えてつくるのが難しかったんです。そこで、野菜の旨味で味わいに厚みを出せるように、かつ食感で満足感をアップできるように方針転換しました。
苦労したこともあり、このビーフカレーは一番思い入れが強いです。タニタ食堂監修といっていいのかと思うくらいにエスビー食品さんの知見が詰まったカレーで、何度も調整をしていただいたものなのでぜひ味わっていただきたいです。

ごろごろ野菜のカレー

井手下(エスビー食品):
こちらはポークの旨味をベースにして、複数の野菜を溶け込ませたソースになっています。ローレルの香りに加え、トマトの酸味を生かして先味の物足りなさを補完。また、スパイス&ハーブは控えめにして、野菜本来の甘みや旨味を引き立たせています。

具材には、レンコンとにんじん、そして食感のよい「くわい」とひよこ豆を選びました。

 

小武内:
くわいは、エスビー食品さんが「レトルトにしても食感が残りやすい」と提案してくださって盛り込みました。タニタ食堂としては新しい発見でしたね。「カレーを食べた」という感覚をもてる仕上がりになるよう、マッシュポテトを入れて口当たりを改善。使用する野菜のクセの有無など、細かな部分までこだわって仕上げています。

スパイス香るキーマカレー

井手下(エスビー食品):
チキンやマッシュルームの旨味に、先味を支える焙煎したクミンとカルダモン、中盤から存在感を増すクローブとシナモンを加えてスパイシーに仕上げました。
さらに、鶏ひき肉とくわい、ひよこ豆で食感にアクセントをつけているので、食べごたえも十分です。

 

小武内:
3種の中で最も強くスパイスを感じられるのが、こちらのキーマカレーです。
それだけに、試食では賛否が分かれましたね。また、お皿に出して時間が経つと離水(食材の水分が流れ出る現象)しやすいことも課題でした。
最終的には、小麦粉をはじめとした水分を吸収してくれる食材を加え、離水しないよう調整。それにより、野菜の旨味がスパイス感に負けずに主張するようにもなり、満足のいく味になりました。

試作回数は60回! 業務用カレーに改良を重ねてたどり着いた味

かなり試作を重ねられたのでは?

井手下(エスビー食品):
3種類合わせて60回以上試食し、改良を重ねました。食べてもらったメンバーからは耳をふさぎたくなるような厳しい意見もありましたが、その一つひとつにしっかりと向き合って、タニタ食堂さんからもたくさん助言をいただいて。たくさんのハードルを乗り越えて納得のいくカレーが完成したと感じています。

 

小武内:
食材の選び方やカットの方法など、タニタ食堂のこだわりをふんだんに盛り込んでもらい、誰にでもおいしく召し上がっていただけるカレーになったと思います。
エスビー食品さんからスパイスをうまく使いこなす方法など教えていただき、タニタ食堂としても大変勉強になりました。

コラボレーションを通じて、双方に新たな発見があったんですね。

井手下(エスビー食品):
当社の社員は「スパイスを効かせた味わい」に舌が慣れ親しんでいる傾向が強いため、タニタ食堂さんのフラットなご意見をいただけたのはありがたかったですね。

 

小武内:
逆にタニタ食堂では「一食あたり塩分量3g以下の味」に慣れてしまっているので、エスビー食品のみなさんと議論したからこそ、この味にたどり着いたと思います。


簡単でおいしくて、ヘルシー。カレーで塩分コントロールを

井手下(エスビー食品):
ご紹介した3種のカレーは、タニタ食堂さんと長い時間をかけて完成させた自信作です!

 簡単&おいしく塩分コントロールに役立てていただけるのはもちろん、カレーが好きなすべての方に楽しんでもらえる商品になったと思っています。
ちなみに、私のイチオシは「旨みとけ込むビーフカレー」。開発に苦労した分、おいしさもひとしおです。

 

小武内:
あえてひとつ私のおすすめを挙げるなら「スパイス香るキーマカレー」。スパイスのバランスがよく、何度でも食べたくなるカレーになっています。パンやナンにも合いますし、ドリアにしてもおいしいですよ!
個性豊かな3種のラインアップなので、ぜひ味わいの違いを楽しんでみてください。

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  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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