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PRODUCT STORY

気圧の変化をグラフで見える化!温湿度計「TT-593」の開発秘話

2025.04.18

スーツを着た男性がこめかみ部分を手で押さえている画像

気温や湿度、気圧の変化は、体調や生活環境に影響を与えることがあります。とくに、寒暖差や気圧の変化が大きい日には、過ごしにくさを感じる人も多いのではないでしょうか。 2025年3月に発売したデジタル温湿度計『TT-593』。従来モデルが備えていた、24時間分の温湿度データをグラフで見られる機能はそのままに、気圧の変化も確認できるようアップデートしました。今回は、本商品の企画開発と設計を担当したお二人に、開発の背景やこだわりについてお話を伺いました。

プロフィール

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株式会社タニタ 新商品推進部 H.A
2003年入社。デザイン部で商品やパッケージのデザインを数多く担当したあと、2021年に新商品推進部へ異動。温湿度計のリニューアルに向けた販売計画の立案や仕様書の作成など、企画業務に取り組む。
 

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株式会社タニタ 量産設計部 森 遥香
2019年入社。入社以来、暑さ指数計の開発に携わり、設計やデータ解析、実験評価を担当。家庭用から業務用まで多様なモデルを手がけたのち、気圧機能を搭載した温湿度計の開発に参画。近年は、熱中症予防の啓発活動として、教育機関向けの講演やセミナーも行っている。
 


開発のきっかけは、気圧と体調管理への意識の変化

――『TT-593』はどのような経緯で開発されたのでしょうか?

森:
近年、寒暖差や気圧変化など気象と体調の関係に注目が集まっています。日本生気象学会でも、気圧変化が体調に与える影響に関する研究が増えており、開発チームでは早い段階から気圧計測技術の実現に向けて準備を進めていました。

 

H.A:
こうした業界の動きや関心の高まりを受け、営業や企画チームでも「気圧データを表示する温湿度計を開発できないか」という声が上がりました。

これまで、24時間分の温度と湿度をグラフで確認できるデジタル温湿度計『TT-580』を展開してきましたが、そこに気圧も追加されれば、日々の暮らしのなかで新たな気づきが生まれるかもしれない……。そうした想いから、気圧計測機能を搭載した新商品『TT-593』の開発プロジェクトがスタートしました。
 


 

スーツを着た男性がこめかみ部分を手で押さえながら、受付で話をしているイメージ画像

アップデートで、気圧の変化をグラフで見られるように

――アップデートしたポイントや特徴的な機能について教えてください。

 

森:
最大の特徴は、気圧の変化を24時間の時系列でグラフ表示できることです。測定は850~1100hPa。これは、標準気圧である1013hPa を基準に、生活圏の気圧変化をカバーした範囲です。


気圧を表示した場合、グラフは横軸が時間、縦軸が気圧となります。縦軸の目盛は気圧の変化に合わせて5段階(0.5hPa、1hPa、2hPa、5hPa、15hPa)で自動的に調整される仕組みです。

 

このオートフィット機能は、設計段階からこだわったポイントです。たとえば、気圧が1000~1020hPa(範囲:20hPa)の間で変化している環境の場合、1目盛を1hPaとして表示します。気圧に変化があった場合には、環境に応じて計測値が980~1020hPa(範囲:40hPa)に調整され、目盛幅も自動で2hPaごとに変更されます。

変化幅に応じたアルゴリズムを構築することで、気圧の変化がより見やすくなっています。
 

TT-593のグラフイメージ画像

H.A:
小さな気圧差もグラフで見やすいことも特徴ですよね。
気圧の変化に敏感な方もいらっしゃるため、細かな動きも捉えられるよう、タニタでは1目盛の最小値を0.5hPaに設定。暮らしのなかで、気圧の変化をより身近に感じられるようにしました。
 


“その場所”の気圧をリアルタイムで把握

――気圧の変化を把握する手段としてアプリやニュースサイト もありますが、『TT-593』ならではの違いやメリットは何ですか?

 

H.A:
アプリなどと『TT-593』には、用途に合わせたそれぞれの良さがあると思っています。気圧予報をもとに体調管理をサポートするアプリの多くは、スマートフォンのGPS を利用してエリア単位のデータを取得するのが一般的。対象範囲が少し広いんです。

一方、気圧センサーが搭載された『TT-593』なら“その場”の気圧をリアルタイムで計測できます。室内の状態を正確に把握することで、体調とのつながりもより見えやすくなるのでは……と考えています。

 

森:
私も、同じ環境で定点観測ができるのは、本商品ならではのメリットだと考えています。日々、気圧や温湿度がどのように変化しているのか。そして、その変化が日々のコンディションとどう関わるのか。変化の動きを知ることで、環境の移り変わりをより深く把握できるんです。
 

 

――気圧計測の機能は、どのように実装されたのでしょうか?

森:
従来モデルの仕様をベースに、気圧センサーを組み込みました。搭載しているセンサーは小型のため、本体の重さやサイズはこれまでと変わらないフォルムになっています。

また商品の開発段階では試作品を使って、飛行機内やオフィスのフロア間など様々な場所で気圧をはかり、気圧の上昇や低下を確認しました。その際の計測値を参考にして、気圧の目盛を決める際に役立てました。

 

H.A:
目盛幅の最小値を0.5hPaという細かい設定にしたことで、小さな気圧の変化も捉えられるようになりました。精度にこだわった設計が、実際の計測結果にしっかりと反映されていると思います。
 

 

家族が食卓を囲んでいるリビングの棚にTT-593が置いてあるイメージ画像

気圧の計測以外にもアップデートされたポイント

――気圧の計測以外にもアップデートされたポイントについて教えてください。

 

H.A:
従来の商品は「日付ごと」に温湿度の履歴をグラフ表示していましたが、TT-593では「24時間」の履歴グラフ表示が加わり、用途に応じて選択できるようになりました。

 

日付ごとの履歴グラフは、横軸が0~24時で固定しており、1日単位のデータを確認できます。たとえば、現在が15時の場合、16時以降はまだ未計測のため、グラフの右側には余白が残ります。

 

一方、24時間の履歴グラフでは、現時点からさかのぼった直近1日分のデータを表示。現在の数値がグラフの一番右に表示され、日付をまたいで常に過去24時間分の気圧変化を確認できます。
確認したいタイミングや目的に応じて表示方法を選べるよう設計し、より使いやすくしています。

 

 

また、温度・湿度・気圧をどのサイズで表示するか、それぞれをどこに配置すれば見やすくなるかを検討し、ディスプレイの視認性にもこだわりました。さらに気圧は細かな変化を捉えやすいよう目盛幅を小さく、湿度は変化の幅がわかりやすいよう広めに設定しました。

それぞれのデータが見やすく配置され、快適に使えるバランスに仕上げています。
 


グラフでわかる気圧・温度・湿度の変化。日々の気づきをサポート

――最後に新型温湿度計が気になっている方に向けて、メッセージをお願いします。

 

森:
開発中は自分のデスクで使用していましたが、使いながら「これは便利」と感じる場面が何度もありました。天候による気圧の変化や、エアコンをつけた際の状態変化など、これまで感覚に頼っていたものが数値でわかる。こうした、“目では見えないものが見える”ことで自分の身体や環境にもっとやさしくなれる気がしました。

 

また、24時間計測しているので、就寝中の室内環境の変化も確認できます。体調を気にしている方はもちろん、赤ちゃんやペットの環境づくりにもぴったり。日々の小さな変化に気づくことで、暮らしを見なおすヒントになればうれしいです。

 

 

H.A:
「なんとなく今日はいつもと違うな」と感じる日がある方も、気圧や温湿度の変化をデータで確認することで、新たな気づきが得られるかもしれません。

気圧は、温湿度と違ってエアコンや加湿器のような機器で手軽に調整するのが難しいものです。だからこそ、『TT-593』で気象の変化を計測して体調を意識するきっかけにしていただけたらと思います。
 

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